DeepSeek-R1 論文内容メモ【LLMモデル】

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中国から発表された新しい LLM のモデル及び企業、DeepSeek。

ヘッジファンド運営で儲けた創業者がほぼ趣味で立てたというベンチャー企業だが、これがLLMの学習に必須な Nvidia製の高性能GPU(およびCUDA)を用いる事なく ChatGPT や Llama、Claude や Gemini と並ぶ高性能な LLMモデルを制作・発表した事で大きな話題に。

米国で最近ぶち上げられたばかりの巨額のAI向け半導体投資が発表された直後だったこともあり Nvidia の株価は一時的に16%ほど下落したが、今回はそんな DeepSeek の論文の中身を要約して備忘メモとして記す。(私はAI初学者なので、細かいところはどのみち分からない)


論文 “DeepSeek-R1: Incentivizing Reasoning Capability in LLMs via Reinforcement Learning” の各章ごとの要点

1. Introduction(導入)

最近の大規模言語モデル(LLM)は、どんどん進化していて、特に「推論能力(reasoning)」が重要視されているよ。従来は、たくさんの人間がラベルをつけたデータ(教師あり学習)で強化していたけど、この論文では 「強化学習(Reinforcement Learning, RL)」 を使って推論力を伸ばせるか試してみたんだ。

主なモデル:

  • DeepSeek-R1-Zero最初からRLだけで訓練
  • DeepSeek-R1少しの人間データでファインチューニングしてからRL

結果的に、DeepSeek-R1は OpenAIのo1-1217 というモデルに匹敵するくらい高い性能を発揮できた!


2. Approach(アプローチ)

どうやってモデルを作ったかの話。

2.1 DeepSeek-R1-Zero: Reinforcement Learningで推論力を向上

  • いきなり「強化学習」だけでLLMを鍛えてみる
  • 報酬(reward) を設計して、「推論が正しいと報酬をもらえる」仕組みにする
  • 結果、推論力はすごく伸びたけど「可読性が悪い」「言語が混ざる」などの課題が出た

2.2 DeepSeek-R1: Cold Start(少し教師データを追加して強化学習)

  • 最初に少しだけ高品質なデータで学習(Cold Start)→ その後にRL
  • こうすると「可読性が向上」「推論力がさらにアップ」
  • RLの最終段階では、言語混在を防ぐための「言語一貫性報酬」も追加

2.3 Distillation(小さいモデルにも推論力を引き継ぐ)

  • 大きなモデル(DeepSeek-R1)の知識を小さなモデルに転送する「蒸留(Distillation)」を実施
  • Qwen や Llama という既存のオープンソースモデルに DeepSeek-R1 の知識を組み込み、小さいモデルでも高い推論能力を持たせた

3. Experiment(実験結果)

DeepSeek-R1 の性能をいろんなベンチマークで評価したよ。

  • 数学・プログラミングなどの推論系タスクに強い!
  • OpenAIの最新モデルに匹敵する結果
  • 小さいモデル(DeepSeek-R1-Distill)も高い性能を発揮!

4. Discussion(考察)

4.1 蒸留 vs 強化学習

  • 強化学習を小さなモデルに適用しても、蒸留には勝てない
  • 小さいモデルでも、大きいモデルを蒸留するほうが効率的!

4.2 失敗した試み

  • Process Reward Model(途中経過を評価する手法)
    → 計算コストが高すぎ&報酬のハッキングが発生
  • Monte Carlo Tree Search(木探索)
    → 探索範囲が広すぎて現実的じゃない

5. Conclusion, Limitations, and Future Work(結論・課題・今後の展望)

  • 強化学習だけでLLMの推論力を向上させるのに成功
  • 蒸留によって、小さなモデルにも高性能を引き継げる
  • でも、以下の点は今後の課題:
    • 一般能力の強化(対話・プログラミングなど)
    • 多言語対応(言語混在の改善)
    • プロンプト設計(少ない例での精度向上)
    • ソフトウェアエンジニアリング系タスクの強化

まとめ

この論文は 「LLMの推論力を強化学習だけで向上できるか?」 という挑戦をしたもので、 結果的に OpenAIのo1-1217レベルの性能を達成 しつつ、知識を小さなモデルに蒸留することで 軽量モデルも高性能化 できた。

特に、数学・プログラミング系の推論タスクで強さを発揮し、 強化学習による自己進化 の可能性を示した点が面白い!


読了後

結局、細かいところはよくわからんが、今回の学習コストの低減手法はいずれ米国の企業にも導入されるだろうし、普通に中国のAI技術者のレベルの高さに感心するくらいに留めるでよいと感じた。

そんなわけでNvidia の株を購入したとさ。基本的にバリュー投資家体質だから今の下がった株価を見ても割高にしか見えんけど、米国企業はまだまだ AI技術でまともな利益を出せるようになるまで投資を続けるだろうし、Nvidia もまだハッキリとした競合は出ていないように見える。

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